AR-M2を実際ご使用してみてのご感想
本田技術研究所に入社後「Ape」や「ZOOMER」のコンセプトデザインを担当。その後pdc_designworksを主催し現在はプロダクトデザイナーとして活躍されている、やまざきたかゆき様に、AM-M2ご使用のご感想を伺いました。

AR-M2を実際ご使用してみてのご感想

本田技術研究所に入社後「Ape」や「ZOOMER」のコンセプトデザインを担当。その後product_cを主催し現在はプロダクトデザイナーとして活躍されている、やまざきたかゆき様に、AM-M2ご使用のご感想を伺いました。


AR-M2を視聴してみた率直な感想は、音の立体感が生み出すライブ音源の再現性の高さですね。
特に女性ボーカルの描写が素晴らしい。
女性独特の声の艶やかさが高いレベルで表現できていると思います。
中村中の悲痛なファルセット、美空ひばりの低音の地声から高音に切り替わる瞬間に生まれるパワーの厚みと声の伸び。
力のある女性ボーカルは音符本来の音程から半音の半音の上というように音程をスライドさせ、浮かせて行く傾向がありますよね。
その部分が聴いていて気持ちいい。

特に、宇多田ヒカルの音源を聴いた際には、ボーカリスト自身の凄さも音作りをしているエンジニアの力量の高さもひしひしと伝わってきました。
音の裏側のようなものがイメージできるんです。
以前、カーオーディオに凝っていたときの知り合いでものすごいサウンドマニアがいるんです。
マッキントッシュのシステムを車載しているような。
そんな彼の車の運転席に座ってマライア・キャリーの音源を再生すると、マライアを始め、バックミュージシャンの各々がどこに立っているのかがわかるんですよ。
立体的なアーティストの気配がそこにはありました。
AR-M2で再生した音にはそれに近い印象を持ったんです。
解像感が高くて音の奥までピントが合うような感触。
それと、低音がゴツンとしっかり出る。
スピーカーによっては完全に負けてしまうかも。

EDMのようなデジタル系の音楽も聞いていて気持ちいいですね。
ハイレゾいうとクラッシックやジャズのような、生音志向のユーザーに愛されていると思われている節がありますが、
PerfumeやももいろクローバーZの楽曲、ボーカロイドの技術をベースにボーカルパートを再現したhideの「コギャル」という、彼の死後に完成した曲が意外と合っていたんです。
イントロのギターアンプのピーキーな真空管のノイズの乗り加減とか、良くも悪くもデジタルで歌を再現している感じとか。
あとはアニソンがよかった。アニソンの特徴として音の抑揚の大きさ、強さがあると思うんです。
AR-M2で聴くと、サビの部分の盛り上がってくる音の張りの出方とか伸び方がすごく気持ちいい。
高音部分が上がる所まで上がって、なおかつ音域の天井までにはまだ余裕が残っているような。
聴いていてテンションが上がりました。


プロダクトデザイナーとしての視点で見た場合、ポータルブルプレーヤーとして、インターフェース面で改良の余地があるのではと感じました。
高音質を重視した設計とAndroid OSを採用しているゆえに犠牲にしている部分もあるのでしょう。
慣れれば問題はないと思いますが、ヘッドホンジャックの位置や各ボタンの配列、ボリュームポジションのようなディスプレイへの表示内容など、
さらに突き詰めて設計しなおすことで、もっと直感的に使いやすくすることができるはず。
本体も、AR-M2の持つ重厚感をさらに生かして、
リモコンを付けて、ボタンや画面も無くして モノリス化するくらいまで尖ってもいいのかもしれない(笑)。

いわゆるアナログの音とデジタルの圧縮音楽、そしてハイレゾサウンドの関係をデザインの話に例えると、閉じていないのに閉じている面、を思い起こします。
立体の3Dモデルをデジタルで作る場合、3Dで面を貼っていくと、絶対に閉じない面が出来る時があるんです。
でも、実際にはそんな筈はないんです。
粘土で作れは絶対に閉じるんです。そもそも閉じた物体をこねているわけですから。
そこって、絶対に割り切れない割り算なんですよね。
それってアナログ立体物に対する3Dの解像度の限界なのかなと。
その解像度は目に見えないレベルなんですけれど、実際に触ってみるとわかる。
一方で、RGBなどの色の解像度は自然界にすでに追いつき超えてしまっている。
もしかすると音の世界も同じなのかもしれません。
数値を超えた領域。僕はそれを「ロマン」だと思っているんですけれど。
AR-M2にはこのロマンに近いものを感じます。


お客様へ一言

「女性ボーカルのライブ音源をぜひ。EDMやアニソン好きの人も一度試してみてください。」


■プロフィール

やまざきたかゆき(山崎 隆之)

1972年長野県生まれ。株式会社本田技術研究所のデザイナーとして18年間所属し、「zeeomer」「Ape」など様々なヒット商品を手がける。
42th東京モーターショーショーモデル「motor compo」は世界各国で注目を集めた。
2012年同社を退職しpdc_designworksを設立。幅広い視野と、趣味を積極的に活用し、工業デザインにとどまらず、コンセプト提案、ファッションデザイン、コンサルタント、教育活動といった幅広い活動を展開している。

pdc_designworks
http://www.pdcdesignworks.com/


やまざきたかゆきブログ
http://takayukiyamazaki.com/